ウェディングプランナー軌跡 - 出発~形成 -
- atelier_solo

- 2020年5月2日
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目指す目標が一択だった私の就職活動は、ウェディング業界だけに的を絞って動いていました。当時の会社選びのポイントはと問われると、、、とにかく直感。それしかない。
ここいいなと思えば説明会に赴き、受けてみたいなと心躍ればエントリーし、言いかえればなんか違うなと思えばすっぱり次にいくといった流れでした。考えすぎてしまう自分の性格を思うとこのやり方が私には合っていたというか、こうするしかなかったというか。いずれにしても世間を知らな過ぎたあの頃だからできたやり方です。
何社か受けて最終的に私が選んだのは、鳥取県にある会社でした。そこは衣裳レンタルを母体に、ゲストハウス運営、カフェ運営、プロデュース業務などを行う会社で、当時私が興味のあったものがぎゅっと詰まっている会社でした。なにより私が魅かれたのは、そこで取り扱っている和装、もっとくだけば和装コーディネートでした。成人式も大学の卒業式さえも着物を着なかった私の心を動かしたその魅力たるや、ぜひまた紹介したいものです。
佐賀と同じくらいのどかな鳥取は、社会人としてスタートするには人も場所も環境もとても居心地のよいところでした。スタッフ総勢15名くらいの小さな会社の特権とも言うべき、新人の私にもいきなり色んなことをさせてもらえました。衣裳接客からはじまり、結婚式のプロデュース、イベント・フェアの企画から運営、広告宣伝担当などなど、毎日毎日なにかを学べることが嬉しくて会社に行くのが楽しみでしかたなかったです。
この鳥取時代に、私につきっきりで指導してくれた大大大恩人ともいえる上司というより師匠と呼ぶ方がしっくりくる方のおかげでウェディングプランナーとしての核となるものが形成されました。この人に出会っていなければ、というより出会えていたからこの仕事の魅力にどっぷりとつかり、ウェディングプランナーが自分の天職と思えるほどにこの仕事が大好きになりました。彼女のおかげで「結婚式とは」を学び、その奥深さ、素晴らしさ、偉大さ、尊さ、価値に触れ、そしてお客様との向き合い方を一番近くでまざまざと見せてもらいました。
もちろん楽しいことばかりではないこことは言うまでもなく、失敗して落ち込み、できない自分への葛藤と戦い、それでも一日も早く一人前になりたくて焦りもがいた日々。褒められたことはあまりなく、怒鳴られたことは何度もある。頑固で強すぎる意思を持ち、素直じゃない私にどれほど手をやいて、どれほどの愛情と熱意を注いでくれただろう。上司と部下としてというより、人と人としていつも真正面から向き合ってくれた人。どんなに問題児の私でも決して私の手を離さなかった人。私が壁にぶつかると決まって、誰よりも忙しいはずなのにドライブに連れ出し話をして聞いてくれた人。いわゆるウェディングプランナーとしての育ての親です。今でも彼女の考え方、やり方、価値観をそのまま受け継ぎ大切にしています。
鳥取に行ってよく聞かれたのが「なぜ鳥取だったの?」ということ。なぜと問われると「行きたいと思った会社がたまたま鳥取だった」と答えるしかなく、自分でも明確な理由を探していました。のちのちわかることなのですが、当時働いていたゲストハウスができた経緯は、とてもお世話になったその大恩人の師匠が結婚される際に感じた「着たい衣裳がない」「なんで地元の食材を使ってないの」「あげたい引出物じゃない」「ほしいアルバムじゃない」など「ない」しかなかったウェディング業界の中で、じゃあ作ればいいとはじめたのがそもそもだったのだとか。これは私も感じていた結婚式への違和感ととても近く、このことを知ったとき、だからこの会社に心魅かれたのだとひっかかっていた喉の詰まりがすっと取れるような感覚でした。
アシスタントを経て、経験を積み知識を蓄えながら一人立ちできるまでになり、あるときからいつか鳥取を離れる日のことを考えるようになりました。鳥取に来て思ったことは、鳥取の人は地元を愛しているということ。そんな鳥取の方を見ていると、自ずと私にも地元愛というものが湧き出てくるものでこんな素晴らしい結婚式を地元でもプロデュースしたいと思うようになっていました。果たして自分がウェディングプランナーとして他でも通用するのか試してみたいとも。
その気持ちに区切りをつけたのは、鳥取に来てちょうど丸5年たった頃でした。たくさん悩んで悩んで出した私の決断を、精一杯応援し背中を押してくれた鳥取でお世話になったすべての方へは今でも心から感謝しています。今でも困ったら電話をして快く聞いてくれて惜しみなくアドバイスをくれる関係性を続けていられるのは、ほんとうに懐の深さだと思います。
こうして私は多くのことを学んだ鳥取から、地元佐賀へと戻り、ウェディングプランナーとして新たな道を歩き始めることとなります。
砂丘の雄大な景色を眺めながらウェディングができるゲストハウス、私の心を魅了した和装、新鮮な食材から織りなされる料理、そして温かい人と美しい自然と昔から大切に受け継がれてきた伝統が色濃く残る町並みと生活…
語りつくせない魅力で溢れた私の大切で大好きな場所で、学んだこと経験したことすべてが今でも私を助けてくれる武器となり大切な財産となっています。
出会ったすべての方に心から感謝しています。













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